転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


351 お勉強開始です



 お父さんとアマンダさんがしてたお酒のお話が終わったって事で、今度こそ僕のお勉強の時間だ。

「ハンス。それじゃあ私たちは別の部屋へ移動するから、子供たちの事はお願いね」

「おう。任せておけ」

 でもここでやるとお兄ちゃんやお姉ちゃんたちが楽しくないし、お勉強するのにもあんまり向いてないらしいから僕たちは別のお部屋へ移動。

 残ったみんなはその間、お父さんと一緒にこのお部屋でお茶とかお菓子を食べて待ってる事になったんだ。


「それじゃあ、始めましょうか」

 別のお部屋に移動した僕たちは早速お勉強開始。

 因みにこのお部屋にいるのは僕とアマンダさん、それにお母さんとルルモアさんの4人だ。

 お母さんとルルモアさんは別に発酵のお勉強をするわけじゃないんだけど、お料理に使うスキルだって事で一緒にお話だけは聞きたいんだって。

「それじゃあ発酵のお話を始めるけど、まず最初に行って起きたいのは私がこのスキルを使う事ができないって事。だから、あくまで話せるのは知り合いから貰った資料の内容についてだけなの」

「それでもある程度は知識を持っているんでしょ?」

「ええ。いつか使える日が来るかもと思って何度も読み返したから、知識としてはしっかり頭に入っているわ」

 アマンダさんが発酵のスキルを使えないからお手本は見せられないよって言ったんだけど、それを聞いたルルモアさんがお勉強はちゃんとしたんでしょ? って聞いたんだよね。

 そしたら何べんも資料を読んだから、それに関してはバッチリなんだって。

 だからアマンダさんは、お話を聞いてもし解んないとこがあったら聞いてくれても大丈夫だよって笑ってくれたんだ。

「それじゃあまず最初に、このスキルは料理人としての技量と錬金術の技量、その両方を必要とするんだけど、私の専門分野である料理に関しての説明からね」

「は〜い!」

 アマンダさんはお菓子の職人さんでしょ? だから一応勉強はしたけど錬金術の事はあんまり解んないんだって。

 だからまずはよく解ってるお料理の技術についてのお勉強から教えてくれることになったんだけど、

「このスキルはね、資料によるとどうやら料理人であればだれでも習得できると言う訳ではないらしいのよ」

「えっ!? 錬金術が使えないといけないって話だから、それは当たり前ですよね?」

 最初に変な事言い出したもんだから、ルルモアさんがそんなの当り前じゃないか! って言ったんだよね。

 ところが、それは勘違いだったみたい。

「いや、そういう意味じゃなくて、それとは別に料理人としてのある資質が必要となるらしいのよ」

「あら、ごめんなさい。私の早とちりだったみたいね。でも、資質と言うと?」

「それはね、料理を作る時、計量しなくても使う食材や調味料の量がある程度解る程度の実力がなければ、このスキルをものにする事はできないらしいわ」

 どうやら発行のスキルを覚えるには、お料理する時にいちいち計んなくてもいいくらいの腕がいるって言うんだよ。

 でもそれを聞いたお母さんは、あれ? って顔したんだ。

「アマンダさん、一つ聞いてもいいですか?」

「ええ、何でしょう?」

「私も毎日の食事を作る時にはいちいち計ったりしていないのですけど……それは料理人ならば当たり前の事なのではないですか?」

 毎日ご飯を作ってたら、お塩とかをどれくらい入れたらいいかなんて大体解るよね?

 だったらさ、そんな事は料理人だったらみんなできるんじゃないの? ってお母さんはいうんだ。

 でも、それを聞いたアマンダさんはそういう意味で言ったんじゃないよって。

「確かにいつも作っている料理なら、いちいち材料や調味料を計る事は無いでしょう。でも初めて作る料理ならどうでしょう?」

「それは当然、計らないと美味しくは作れないと思います」

「そうですよね。でもある一定以上の腕を持った料理人は、初めて作る料理であってもどれくらいの量を入れたらいいのかが解るんですよ」

 これを聞いたお母さんとルルモアさんはすっごくびっくりして、ほんとにそんな事できるの? って聞いたんだよね。

 そんなお母さんたちに、アマンダさんはそれができるようになるかどうかで、その料理人が一流かどうかが決まるんだよって教えてくれたんだ。

「私は初めて師匠からこの話を聞かされた時は、そんなの無理だって思ったわ。でも何年か修行しているうちに、ある日突然なんとなくだけどそれが解るようになってきたの」

 アマンダさんはその日の事、今でもはっきりと覚えてるんだって。

 そしてその日からお料理の腕が今までと比べ物にならないくらい、どんどん上達していったらしいんだよね。

「多分あれがコツをつかむって事なんだと思うけど、この感覚をつかめるようになるかどうかはその人次第で、中には何十年も修行しているのにその感覚をつかむことができない人もいるらしいわ」

「そうなんですか。かなり難しいんですね。でもルディーンにそんな事、できるようになるのかしら?」

「あんなにいろいろなお菓子を思いつくルディーン君ですもの、この子なら絶対にその感覚を手に入れられると私は思ってますわ」

 とっても難しいけど、僕なら絶対できるようになるよって盛り上がってるお母さんとアマンダさん。

 でもね、僕はそれを聞きながら、あれ? って思ってたんだ。

 だって僕、そんなのとっくの昔にできるようになってるんだもん。

「ねぇ、アマンダさん。それってお菓子を作る時とかに、どれくらいお砂糖を入れたらいいとかが解るってやつだよね?」

「ええ、そうよ」

「だったら僕、もうできるよ」 

「えっ!?」

 だから僕だってできるよって教えてあげたんだけど、そしたらアマンダさんはすっごくびっくりした顔になっちゃったんだ。

「ちょっと待って、ルディーン。それは本当なの?」

「うん。だってさ、それって料理人って言う一般職が1レベルになったらできるようになるやつだと思うもん」

 そしたら今度はお母さんがびっくり。

 ほんとなの? って聞いてきたから、僕はそれは多分料理人の一般職があるとできるようになるんだと思うよって教えてあげたんだよね。

「料理人の……一般職? それって一体何のことを言ってるの?」

「えっとね、お料理をいっぱい頑張ったら付くやつだよ」

「???」

 でね、今度はそれを聞いたアマンダさんが一般職って何? って聞いてきたもんだから教えてあげたんだけど、なのに全然解ってくれないみたい。

 だから僕、どうして解んないかなぁ? って思ってたんだけど、

「ルディーン君。それじゃ多分、アマンダさんには伝わらないわよ」

 そしたらルルモアさんが笑いながら、ここからの説明は変わるわねって。

「ルルモアさん。ルディーン君が言っていることの意味、解るのですか?」

「ええ。これは冒険者ギルド以外ではあまり出てこない話だから、アマンダさんが知らなくても仕方がないのよ。彼が言っているのは多分、その人のステータスにかかわる事だと思うわ」

 ジョブのレベルとか、本人のステータスって普通の人には見えないでしょ?

 だからそれを調べなきゃいけない冒険者ギルド以外では、あんまり知られていないんだって。

「へえ、そんなものがあるんですか」

「普通の生活には必要のない情報だから、冒険者以外では知っている人はあまりいないんじゃないかしら? それにステータス自体、見える人があまり居ないし」

 そしてルルモアさんは、戦闘スキルとかもジョブを得る事によって使えるようになるから、アマンダさんが言った材料を計らなくっても何となく解るようになるって言うのもその一種だと言われれば納得できるわねって、笑ったんだ。



 さて、この話を読んで、あれ? って思われた方もいると思います。

 なにせアマンダさん、パンケーキを作る時にベーキングパウダーもどきの量を間違えてましたからね。

 もし本当に材料を計らなくても何となく解ると言うのならそれはおかしいんじゃないか? って話になるんですか、実はこれには訳があります。

 なんとなく解ると言うのは、その材料がどんなものかを理解している場合だけなんですよ。

 これはクリエイト魔法と同じような理屈で、そのものの性質を知らなければたとえパッシブスキルがあったとしても使いこなすことができません。

 それはそうですよね。だって何に使うかもわからないのに、それの適量が解るはずがないのですから。


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